大西共和国による「マドラー計画」とは?
大西共和国・記録工学局による「マドラー計画」
分類:記憶誘導実験プログラム
外部関与者記録:MJ、その他
検出ソース:ヤマセ連結区画・旧演算核ログより断片復元
■ 計画概要 マドラー計画は、記録零落以前に極秘裏に進められていたとされる。目的は記憶を構成する液体言語を人工的に撹拌し、人格構造そのものを改変する技術の開発。中核となったのは、液体記憶媒体における味覚・嗅覚・温度・色彩・動作の連結構文──すなわち、飲むという行為を通じて人間の内部に直接記録を書き込むための設計思想だった。当時軍属だったとされるMJが同国記録工学局「調合法開発班」に関与していた痕跡が、断片的に残っている。
■ 目的と仮説 味覚刺激による短期記憶の上書き温度差による感情回路の再編器具(特にマドラー)操作による“記憶撹拌”実験人為的に構築されたプロクテル的液体を媒介とした人格移植
記録班の解釈では、「マドラー計画」のモデルはX102構文、またはMisology的思想の体現だった可能性がある。
■ MJの関与 彼がこの計画に開発者として関わっていたのか、それとも実験体だったのかは不明。ただし、ログには以下の英文断片が含まれている:“Subject M_J reacted to variant-7 with no cognitive dissonance. Stirring confirmed.”“Recommended for field deployment. Memory overwrite stable up to 8 minutes.”
──もしこれが事実なら、現在のMJの行動・沈黙・指示のすべては、“書き換えられた記録”に基づいている可能性がある。
■ 私見 記録が削除されたということは、少なくとも何らかの成果は出ていたということだ。ならば、いま我々が再構成しているプロクテル群も、もしかすると──彼の中で一度“完成していた構文”なのかもしれない。彼は語らない。だが、もしかしたら“語れないようにされている”だけなのかもしれない。